2014年10月



三陸鉄道利用促進シンポジウム  10/26


10月26日の日曜日。この日は、シーパル大船渡の会場にて、
『三陸鉄道利用促進シンポジウム・鉄道を支える力は無限大』が
10時から12時の時間帯で行われました。


【基調講演】は、講師として交通ジャーナリストの鈴木文彦さん。 「地域が変えるローカル鉄道」という題で講演されました。
お話しされた内容は主に下記になります。
<ローカル鉄道の今、内外から観光客を呼べる鉄道へ> ・観光鉄道としての生き方 ・乗って楽しい鉄道 ・鉄道の魅力を高め乗りに来てもらう
<でも観光客に頼っているだけではダメ〜基盤は沿線の生活利用> ・なぜ鉄道が必要か ・では鉄道を活かすために何ができるか ・鉄道を利用する ・鉄道を応援する ・みんなが自分の問題として
<ではこれからの地方鉄道の姿は> ・駅を地域の核にする ・駅の活用事例 ・高齢者に優しい鉄道
<公共交通ネットワーク> ・鉄道とバスの連携によるネットワーク ・インフォメーションの充実
その中からいくつかご紹介いたします。
<駅の活用事例> 駅中に「温泉」「ベーカリー」「高齢者施設」「ギャラリー」などなど、 快適に利用することで、利用者に満足して頂ける施設になります。 コンビニとの一体化も今の時代、とても重要とのこと。 また「道の駅+鉄道の駅舎」というのも、人が集まる理想的な姿になっています。
<駅を地域の核にする> 街を再開発して駅前に集中すること。 そして「高齢者に優しい」「公共交通のネットワーク・安心できる」 「インフォメーション」を行うことです。
<高齢者に優しい鉄道> 高齢者に優しい鉄道とは、バリアフリー対策として、 跨線橋などの階段をなくしてスロープや、 エレベーターやエスカレーターにすることで、 利用しやい優しい環境になります。
<鉄道とバスの連携によるネットワーク> 公共交通ネットワークとは、「コミュニティバス」「路線バス」 「福祉バス」などの乗り継ぎ抵抗をなくし、近い場所で乗り継ぎを行い、 「鉄道とバスを上手に繋げていくこと」になります。 時刻表の表示やワンマン運転の周知など、情報を充実させ、 お客様に理解して頂くことも大切。 鉄道が駅に到着すると、それぞれの公共交通がお客様をパッと 乗せていくような環境が理想であり、行われているそうです。 地域の中の鉄道として一体化を図ることが重要とのこと。
次に【パネルディスカッション】「三陸鉄道と地域の力」が行われました。
コーディネーターは引き続き鈴木文彦さん。 パネリストは、吉田哲さん(三陸鉄道株式会社南リアス線運行部 部長)、 岩城恭治さん(NPO法人夢ネット大船渡 理事長)、 佐々木淳さん(綾里漁業協同組合小石浜青年部 部長)、 熊谷祐子さん(一般社団法人大船渡市観光物産協会)の4名です。
主に「住民利用」「取り組んできたこと」「アイディア」などを話されました。
<吉田哲さん> 三陸鉄道は開業の年の利用者は、269万人。 平成22年は85万人と3分の1になり、赤字は平成6年からだそうです。 特別列車として「リアスシーライナー」を運行。 平成9年は「仙台−久慈」間。平成10年からは「仙台−八戸」間で走行し、 10時間100kmという夏季限定の特別列車を震災前まで行っていました。
また、「産直列車」を運行し、地元の食材を車内で販売し、 社員が車内で虎舞を披露するのが定番になっていました。
「お絵かき列車」も運行させ、園児に描いて頂いた絵を車内に展示させています。
三陸鉄道・JR東日本・岩手開発鉄道の3社合同で開催している 「3鉄まつり」はこれまで、17回開催。
三陸駅のホームに「ころ柿」を吊るし、のれんのように干し柿が 吊るされている様子が、名物になっています。
これからも地域と連携を取りながら行っていきたいとのこと。
<岩城恭治さん>
平成18年に三陸鉄道沿線30万人運動として、 「歌声列車」「お座敷列車」「納涼列車」などを企画・開催されました。 平成23年10月から、岩手県から委託を受けて、 盛駅を活用した「三鉄盛駅ふれあい待合室」をオープン。 「歌声列車」「駅弁列車」「駅からウォーキング」など三陸鉄道を活用した イベントを企画・開催しています。 また「ビール列車」や「ワイン列車」を運行し、地元住民から好評を得ています。
一関市の「老人クラブ」や「婦人部」の方々から貸切列車を申し込まれるなど、 多くの団体が利用されています。今では大船渡市内の公民館などからも 貸切列車の申込みが入るようになりました。
<佐々木淳さん>
ホタテを全国にアピールしようと、小石浜青年部が世に出すときに、 「恋し浜ホタテ」にしてみてはというひと声で、 インパクトあるネーミングが誕生し、決まったそうです。
1985年(昭和60年)10月16日に「小石浜駅」が新設され、 その時、地元の方が詩をうたわれました。 「三鉄の藍(愛)の磯辺の 小石(恋し)浜 かもめとまりて 汐風あまし」 “小石浜”を“恋し浜”に詠ったことで、住民から声が出たわずか半年後、 2009年(平成21年)に現在の「恋し浜駅」へと駅名が変わりました。
小石浜青年部のホタテブランド「恋し浜ホタテ」を全国へアピールすることと、 三陸鉄道の集客アップの可能性が一致してのことになります。
現在、待合室には約15000枚のホタテ絵馬が吊るされており、 この恋し浜駅で結婚式を挙げたカップルもいます。 【恋愛のパワースポット】として有名になっております。
クウェート国からの支援により、スロープが設置されました。 このスロープにも「ホタテ絵馬」を吊るしていきたい。 そして、ホタテが食べれる施設について観光協会へ相談しているとも 話されていました。
企画列車で「恋し浜ホタテ」を振る舞っているが、 今は完全予約制でないと、食べれないそうです。
盛町へ飲みに行く際に三陸鉄道を利用。 またお年寄りも利用されている。企画列車をアピールし続けていくことと、 地域住民と三鉄が密接な関係になることが重要と話されておりました。
<熊谷祐子さん>
海の写真展やフリーマーケットを開催。 大船渡市や気仙地域にある学校へ向けてPR活動をされております。 今は三陸駅のホームに「ころ柿」を吊るす準備を行っているそうです。
次に「観光地域利用」へ向けた取り組みについて話されました。
岩城恭治さんは、駅周辺、特に盛駅東口の再開発を提案されました。 主に駐車場の整備についてです。
また、三陸鉄道に乗車して見てこれる施設の建設が必要とのこと。 例えば「津波資料館」や吉浜の「きっっぴんアワビ歴史館」など、 各沿線に観光施設があると、お客様に下車する目的が 生まれるのではないかなど、提案されておりました。
そして、駅舎の利用ということで、 図書館や会議室があると利用者が増えるのではないか。 ローソンなどコンビニがあれば、夜行バスで到着したお客様が 朝の早い時間でも食事することができるなど、 市民と観光客への対応がカギだと話されてました。
佐々木淳さんは、恋し浜ホタテが食べたいという声が たくさん聞かれている現状があります。 キッチンカーでの販売が出来たことで、 食べて頂く機会をどんどん増やしていきたいことと、 ホタテ絵馬の数が少なく、願い事を書けないでる方もいる中、 三陸鉄道へ乗車された時、絵馬に書くことができるなど 工夫することも必要と考えられておりました。
熊谷祐子さんは、三陸鉄道と地域がイベントを通して 三陸鉄道が必要がという意識を増やしたい。 また、鉄道ダンシ列車を運行して車内でサイン会など行えば、 ファンの方々が集まり、利用して頂けるのではと話されました。
吉田哲さんは、公共交通として駅中心の再開発を呼びかけているとのこと。 盛駅、陸前赤崎駅、恋し浜駅にはスロープなどバリアフリーの対策が 施されており、高齢者にも安心できる環境になっている。
交流人口の拡大を図るに当たって、リピーターを増やす為に必要な おもてなしの心で対応することが目標で活動を行っているそうです。
震災学習列車は、平成25年度は6500人が利用されましたが、 本年度(平成26年度)は、予約も含め1万人を越えている現状とのこと。 教育旅行として今後、遠野や花巻温泉など、岩手県内の観光地と絡めた 旅行パックにして、グレードアップを図っていきたいと話されました。
これまでも「企画列車」は続けていきますし、「駅−1グルメ」の冊子も 全国にアピールする為、取り組まれていきます。
企業との連携として、ネスレさんによるラッピング列車や切符カット(お菓子)、 資生堂さんとの?がりも生まれています。
そして、利用者補助制度を活用した貸切列車を、 もっともっとアピールしていき、お客様に利用して頂ければとも話されました。
この後、住民代表による発表として、 大船渡東高等学校機械科2学年の橋本陸くんのスピーチがありました。
乗り物が大好きで、警笛の音でいま何時なのかが分かるほど 生活の一部になっていたそうです。東日本大震災により三陸鉄道が被災し、 運休になったことで警笛の音が聞こなくなり、 時が止まっていたような感覚で過ごされていました。 今年の4月、全線で運行を再開した三陸鉄道。 吉浜より先にある鍬台トンネルを抜けた時、胸が熱くなったそうです。 公共交通機関として長期的に考え、 もう一度乗りたいと思っていただく為に、3つのことを提案されました。 ◎時刻・飲食・沿線マップを1つにしたパンフレットの作成 ◎途中下車を促せるような観光地を見て回れる為のスタンプラリー ◎地元の方へ向けた無料乗車券や割引乗車券の発行
三陸鉄道の魅力は、お客様が見出す。おもてなしを強化すれば、 住民も観光気分で三陸鉄道に乗車していくようになり、 乗車人数の増加につながるのではと発表されておりました。
最後に、大船渡市大船渡高等学校普通科2学年の木川田志保さんによる 「三陸鉄道の利用に関する決意宣言」が行われ、 『三陸鉄道利用促進シンポジウム・鉄道を支える力は無限大』が、 閉会となりました。



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NPO法人夢ネット大船渡 三陸鉄道盛駅舎活用事業

岩手県大船渡市盛町字東町裏16番地





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